銀のさら「母と子」
お給料が出たので、昨日は特別にお寿司を食べてきました。
回るお寿司屋さんですけれど。
マグロを食べていて、ふと思い出しました。
何度見ても泣けるCMがあります。
銀のさらの「母と子」
これを教えてくれたのは二年前。二十代の介護職員の女性でした。
彼女は仕事がつらいなあ辞めたいなあと思っても、これを見ると頑張れる、と言っていました。
あらすじをざっくりとご紹介しますね。
認知の進んだ母と息子と嫁、その孫が自宅の食卓でお寿司を食べています。
母は目の前にいる息子「さとし」が誰なのか分からない。
息子さとしは母に、自分の家なのに「家に帰る」と言われ、「あなたはどなた?」と尋ねられます。
徘徊する母を連れ戻しに行った時の記憶がよみがえり、痛たまれなくなる、その時でした。
トロに手を伸ばした瞬間、母にその手をさえぎられ、
「それは息子のさとしに置いてやってください。あのこはトロが大好きでね」
と言われるのです。
体が弱かった自分を背負い、病院に駆け込んでくれた若き日の母。
必死に面倒を見てくれた母の回想場面が流れ、再び現在に戻り、老いた母の寂し気な表情が映し出されます。
「私は…あの子が元気でいてさえくれれば、何にもいらないんですよ」
小さく微笑む母。
それまでずっと黙って見ていた孫(さとしの息子役の少年)が口を開きます。
「さとしくんはね、元気な大人になるよ。」
え? という風に振り返るさとし。
「優しくて強くてさ、ぼく、知ってるんだ!」
その一言で、祖母は「そうかい、嬉しいねえ」と笑顔になります。
たったこれだけの2分30秒のCMなのですが、
息子が母を思う気持ちと、そんな気持ちを察して孫が発する言葉に胸打たれます。
目の前にいる自分のお父さんが「さとし」だと現実をつきつけるのではなく、まるで知っている友達のように祖母に安心する一言をかけてやる機転、何度見ても泣けます。
おススメしてくれた介護職員さんの話では、施設にいる人はみな同じような老人にしか見えなかったのに、このCMを見てからは「ひとりひとりが誰かの大事な人なのだ、優しくしよう」と思うようになったそうです。
あれから2年経ちました。
彼女はセリフをばっちり覚えていて再現してくれるものでした。
あまりにも登場人物のモノマネがうますぎて、お寿司を食べるときは今でも、彼女とCMがセットで思い出されるのでした。
読んでくださり、ありがとうございました。
では、また!